シェイクスピア『ソネット集』146番
ヒューレン博士は、『ソネット集』146番の書き出しの部分もよく引用しています。
Poor soul, the centre of my sinful earth,
[ Thrall to ] these rebel pow’rs that thee array,
(後略)
Sparknotes.comより引用。
『Zero Limits』(p.115)でも言及されていますし、zero-wizeのクリーニングビデオ(Our Cleaning Video)の冒頭にも登場します。
zero-wize『Our Cleaning Video』の映像より引用。
単語の説明
thrall to〜:〜に束縛されて/〜にとらわれて
enthralled by〜:〜のとりこになって/〜に魅了されて
pow’rs:powersの省略
thee:汝/汝に/汝を
array:立ちはだかる/反対する
英文学者で東京大学名誉教授だった高松雄一さん(故人)の翻訳は、以下のとおりです。
わが罪深き土くれの中心よ、お前を貶(おとし)めんとする
この反逆の軍勢に打ち負かされた、哀れな魂よ、
高松さんの翻訳では、この部分にいくつかの注釈が付けられています。
まず、「わが罪深き土くれ」について、旧約聖書「創世記」二の七に「エホバ紳士の塵(ちり)を以て人を造り生気(いのちのき)を其(その)鼻に噓入(ふきい)れたまへり」とあることを引用し、「土くれ」が「肉体」を指すと解説しています。
さらに、「中心」とは「魂」、「反逆の軍勢」とは「肉体とその欲望」のことであると注釈があります。
角括弧(brackets)がついている部分は、原文が不明で、推測された言葉であることを示しています。
前回英語の原文を参照した『Project Gutenberg』では、この部分は「My sinful earth these rebel powers array」となっていますが、「my sinful earth」が繰り返されていることから、これは一般に誤植だと考えられています。
画像引用元:Wikipedia「Sonnet 146」
推測されている部分は、『Zero Limits』(p.115)では「Thrall to(〜にとらわれて)」、zero-wizeのクリーニングビデオでは「Enthralled by(とりこになって)」となっています。
このほかにも、「Fool’d by」「Hemm’d by」「Foil'd by」「Fenced by」「Flatt’ring」「Spoiled by」「Lord of」「Pressed by」などとする説があります。
『ソネット集』(岩波文庫・高松雄一 訳)でもこの誤植説について触れられており、「ここではイングラムとレッドパースの訂正に従う」と記されています。
Sparknotes.comでは、以下のような現代語訳(英語)が紹介されています。
My poor soul, you’re the very center of this sinful world, my body, which rebels against you.
Sparknotes.comより引用。
「sinful earth」の部分は、「sinful world, my body(罪深き世界、私の体)」と併記して訳されています。
zero-wizeのクリーニングビデオ(Our Cleaning Video)では、この『ソネット集』146番の引用文に続いて以下の文章が現れ、さらに続いて、FEAR(恐れ)、GUILT(罪悪感)、SORROW(悲しみ)などの言葉が現れては消えていきます。
...these “rebel powers” in the soul replaying...
zero-wize『Our Cleaning Video』より引用。
ヒューレン博士が「rebel powers(反逆の力)」の部分を「記憶を再生させるもの」と解釈していることがうかがえます。
Peace be with you,
Zero Limits: The Secret Hawaiian System for Wealth, Health, Peace, and More
- 作者:Vitale, Joe,Len, Ihaleakala Hew
- 発売日: 2008/12/31
- メディア: ペーパーバック